第3部 制度と税金

税金(20.315%・損益通算・繰越控除)

譲渡益と配当にかかる税、損を出した年にやっておくこと、3年間の繰越控除。

上場株式や投資信託の利益にかかる税は20.315%です。 率そのものより、損が出た年にやっておくことのほうが 金額の効き方は大きくなります。この章はそこを中心に扱います。

制度は改正で変わります。この章は2026年9月時点の内容です。実際の申告の前に、 国税庁のタックスアンサー(末尾の参考文献)で最新の内容を確かめてください。

20.315%の内訳

いま(2026年)2027年以降
所得税15%15%
復興特別所得税0.315%0.165%
防衛特別所得税0.15%
住民税5%5%
合計20.315%20.315%

令和9年(2027年)分から防衛特別所得税が加わりますが、 同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%へ下がるため、合計は20.315%のままで変わりません。 「増税で株の税率が上がる」という説明を見かけたら、 内訳の話と合計の話を取り違えている可能性があります。

損益通算——損は利益と相殺できる

同じ年の中で、利益と損失を差し引きできます。 1つの証券口座の中なら自動ですが(第3部20章)、複数の口座にまたがる場合は確定申告が必要です。

口座をまたぐと申告が要るA証券で+50万円の利益、B証券で−30万円の損失。
源泉徴収ありのままだと、A証券の50万円に対して税が引かれ、 B証券の損は使われません。
確定申告すれば差し引き20万円に対する課税になり、 払いすぎた分が戻ります。

通算できる相手には範囲があります。上場株式・株式投資信託・ETF・REITなどは同じグループで通算できますが、FXや先物(先物取引に係る雑所得等)とは通算できません(第2部13章・17章)。暗号資産とも通算できません(第3部22章)。

繰越控除——3年間持ち越せる

その年の利益で使い切れなかった損失は、翌年以降3年間、繰り越して使えます。 これは金額の効きがいちばん大きい制度です。

申告して初めて繰り越せます。損が出た年に何もしないと、この権利は消えます。

繰り越すには、損が出た年に確定申告が必要です。しかも損失を使い切るまで、毎年続けて申告し続ける必要があります。 途中で1年でも申告しないと、そこで繰越が途切れます。 「損した年は申告しなくていい」は、いちばん高くつく誤解です。

配当の扱いは3通りから選べる

選び方税率特徴
申告不要20.315%何もしない。いちばん簡単
申告分離課税20.315%譲渡損失と通算できる
総合課税累進配当控除が使える。所得が低いと有利になることがある
  • 株の損失と相殺したいなら申告分離課税。 総合課税を選ぶと譲渡損失と通算できません
  • 配当控除はJ-REITには使えません(第2部11章)。 外国株の配当にも使えません
  • 申告すると保険料や扶養判定に影響します(第3部20章)。 税だけで判断しないこと

NISAの損失は使えない

繰り返しになりますが、重要なので再掲します。NISA口座の損失は、損益通算も繰越控除もできません。 利益に税がかからない代わりに、損も税務上は存在しないものとして扱われます。

外国株の二重課税

外国株の配当は、現地で源泉徴収されたうえで日本でも課税されることがあります。確定申告で外国税額控除を使えば 一部を取り戻せますが、手間がかかり、控除額にも上限があります。

NISA口座では外国税額控除が使えません。 日本で非課税なので、控除する対象の日本の税がないためです。 外国株の配当をNISAで受け取る場合、現地の税は取られたままになります。

まとめ

  • 税率は20.315%。2027年に内訳が変わるが合計は変わらない
  • 損益通算は同じ年の利益と損失の相殺。口座をまたぐなら申告が要る
  • FX・先物・暗号資産とは通算できない
  • 繰越控除は3年。損が出た年に申告し、使い切るまで毎年申告し続ける
  • 配当は3通りから選べる。株の損失と相殺するなら申告分離課税
  • NISAの損失は通算も繰越もできない。外国税額控除も使えない

参考文献

この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。

  1. 官公庁No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)国税庁 タックスアンサー確認日 2026-09-07
  2. 官公庁No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除国税庁 タックスアンサー確認日 2026-09-07
  3. 官公庁No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)国税庁 タックスアンサー確認日 2026-09-07
  4. 官公庁防衛力強化に係る財源確保のための税制措置財務省確認日 2026-09-07

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