第2部 資産クラス別

投資信託

基準価額の仕組みと、分配金が「儲け」とは限らない話(元本払戻金)。

投資信託は、多くの人からお金を集めて、まとめて運用する箱です。 1万円でも数百の銘柄に分散できるのが最大の利点で、 第1部4章で見た分散を、個人が現実的に実行できる形にしたものです。

お金の流れと登場人物

運用する人と資産を持つ人が分かれています。この分業が、次に見る「破綻しても資産が守られる」仕組みの理由です。

分別管理は投資信託の重要な性質です。信託銀行は投資信託の資産を自社の資産と分けて管理する義務があります。 そのため、販売会社・運用会社・信託銀行のいずれかが破綻しても、投資信託の資産そのものは守られます。 ただし値下がりによる損失は別で、これは誰も補償しません。

基準価額

投資信託の値段が基準価額で、 ふつう1万口あたりで表示されます。

基準価額の決まり方(ファンドが持つ資産の時価 − 費用)÷ 総口数
1日1回だけ算出されます。株式のように刻々と動く値段ではありません。 だから注文するときはいくらで買えるか分からない状態で注文します(ブラインド方式)。何時までに注文すればその日の基準価額か、は商品ごとに決まっています。

基準価額が低い=割安、ではありません。基準価額は運用の期間や分配の履歴で決まる数字で、 1万円のファンドと3万円のファンドを比べても、割安・割高の判断にはなりません。 比べるべきは中身とコストです。

分配金の罠

ここが投資信託でいちばん誤解の多いところです。分配金は、儲かったから出るとは限りません。

普通分配金元本払戻金(特別分配金)
中身運用で増えた分からの分配自分が出したお金が戻ってきているだけ
課税課税される課税されない(利益ではないため)
取得価額変わらないその分だけ下がる
左が運用で増えた分、右が元本の払い戻しです。右の部分は「儲け」ではありません。

分配金が出ると基準価額はその分下がります。ファンドの資産から払い出しているので当然です。 「毎月お金がもらえてお得」に見えるのは、 自分の資産を取り崩しているだけの場合があります。

分配金を出さないことは、悪いことではありません。分配せずに再投資すれば、その分が複利で働きます(第1部3章)。 受け取るたびに課税される普通分配金と違い、売るまで課税が繰り延べられるという利点もあります。 「分配金が多い=良いファンド」ではありません。

目論見書で見るところ

  • 何に投資するか——対象資産・地域・指数に連動するかどうか
  • コスト——購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額(第1部5章)
  • 分配方針——毎月分配か、分配を抑えるか
  • 純資産総額——極端に小さいと、 運用が続けられず繰上償還(満期前の終了)になることがあります
  • 為替ヘッジの有無——外貨建て資産の場合。 ヘッジありは為替の影響を抑える代わりにコストがかかります

まとめ

  • 投資信託は少額で分散できる箱。運用会社と信託銀行が分業している
  • 分別管理により、関係会社が破綻しても資産は守られる(値下がりは別)
  • 基準価額は1日1回。低いから割安ということはない
  • 分配金には元本払戻金が含まれることがある。儲けとは限らない
  • 分配金が出ると基準価額は下がる。分配しないほうが複利は効く
  • 純資産総額が小さいと繰上償還のことがある

参考文献

この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。

  1. 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
  2. 業界団体・取引所投資信託を学ぼう一般社団法人 投資信託協会確認日 2026-09-07
  3. 業界団体・取引所投資の時間(投資教育コンテンツ)日本証券業協会確認日 2026-09-07

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