第2部 資産クラス別

債券

金利が上がると債券価格が下がる理由、デュレーション、信用リスク、個人向け国債。

債券はお金を貸す商品です。株式が「会社の一部を持つ」のに対して、 債券は「決まった期日に決まった額を返してもらう約束」を買います。 性質がまるごと違うので、株式の感覚で読むと必ずつまずきます。

債券の3つの数字

用語中身
額面(償還金額)満期に返ってくる金額
クーポン(表面利率)額面に対して毎年支払われる利息の率
償還日(満期)額面が返ってくる日

満期まで持てば、いくら返ってくるかが最初から分かります(発行体が返せる限りにおいて)。ここが株式との決定的な違いです。 株式には満期も約束された金額もありません。

金利が上がると債券価格が下がる

債券でいちばん誤解されるところです。理屈は単純で、新しく出る債券のほうが条件が良くなるからです。

なぜ下がるのかクーポン1%の債券を持っているとします。その後、市場金利が上がって、 新しく発行される債券のクーポンが3%になりました。
いま持っている1%の債券を誰かに買ってもらうには、値段を下げるしかありません。 同じ値段なら誰も3%ではなく1%を選ばないからです。
逆に金利が下がれば、手持ちの債券の条件が相対的に良くなり、価格は上がります。
金利と債券価格は逆に動きます。満期まで持てば額面が返るので、途中の価格変動は「途中で売るなら」の話です。

デュレーションは、 この金利変動に対する価格の敏感さを表す数字です。 おおまかには残り期間が長いほど大きくなり、 デュレーションが大きいほど、同じ金利変動で価格が大きく動きます。 「安全な債券のはずが大きく値下がりした」という場合、 たいてい残り期間の長い債券を持っています。

信用リスク——返ってこない可能性

債券のもうひとつのリスクは、発行体が返せなくなることです。 価格の変動と違い、これは元本が戻らないという形で効きます。

第2部7章「株式」で見た弁済順位の裏返しです。債券が株式より安全とされるのは、この順番が理由です。

利回りが高い債券は、高いなりの理由があります。格付けの低い債券(ハイイールド債)は利回りが高いですが、 それは返せなくなる確率が織り込まれているからです。 利回りだけを見て「債券なのに高利回りでお得」と判断するのは、 リスクを見ていないのと同じです。

個人向け国債

個人が買える債券として代表的なのが個人向け国債です。 通常の債券と違う特徴があります。

  • 中途換金しても額面で戻る(発行後1年経過後)。 直前2回分の利子相当額が差し引かれますが、価格変動による元本割れが起きません。 上で見た「金利が上がると価格が下がる」がここでは効かない
  • 最低金利が保証されている(年0.05%)
  • 変動10年・固定5年・固定3年の3種類がある

「債券は安全」と一括りにしないこと。個人向け国債と、外国のハイイールド債を組み入れた投資信託は、 同じ「債券」でもリスクの大きさがまったく違います。 債券型の投資信託を選ぶときは、何の債券が入っているか(発行体の国・格付け・残り期間)を見る必要があります。

債券を持つ意味

株式より期待リターンは低いのが普通です。それでも組み入れられるのは、株式と値動きが揃いにくいことが多いからです (第1部4章「分散投資」の相関の話)。 株式が下がる局面で債券が支える形になれば、全体の振れ幅が小さくなります。

ただしこれは必ず起きることではありません。 金利が急に上がる局面では、株式と債券が同時に下がることもあります。 「債券を入れておけば大丈夫」ではなく、 「揃いにくい傾向がある」までが正確な言い方です。

まとめ

  • 債券はお金を貸す商品。満期まで持てば、いくら返るかが最初から分かる
  • 市場金利が上がると債券価格は下がる。残り期間が長いほど大きく動く
  • 信用リスクは価格変動とは別。返ってこない可能性そのもの
  • 高利回りには理由がある。利回りだけで判断しない
  • 個人向け国債は中途換金でも額面が戻り、価格変動リスクがない
  • 株式と揃いにくい傾向はあるが、同時に下がることもある

参考文献

この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。

  1. 官公庁個人向け国債財務省確認日 2026-09-07
  2. 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
  3. 業界団体・取引所投資の時間(投資教育コンテンツ)日本証券業協会確認日 2026-09-07

投資の教科書の目次にもどる