第1部 基礎(原理)
リスクとリターン
投資の「リスク」は損失ではなく振れ幅。標準偏差で測るとはどういうことか。
投資の話で「リスク」という言葉が出てきたとき、 日常語の「危険」で読むと必ず混乱します。投資でいうリスクは、損失のことではなく振れ幅のことです。 ここを取り違えると、以降の章の言葉がすべてずれます。
リスク=振れ幅
リスクは、リターンがどれくらいばらつくかを表します。 上にも下にも振れることを指すので、大きく儲かる可能性もリスクの一部です。 数値としては標準偏差で測ります。
そしてBには、取り崩したい年がたまたま −15% の年だったという問題がついて回ります。
「リスクが高い=リターンも高い」ではありません。正しくは「高いリターンを期待するなら、高いリスクを引き受けるしかない」です。 逆は成り立ちません。リスクだけ高くてリターンが低いものは、いくらでもあります。リスクを取れば報われる、という読み替えが、いちばん損につながります。
どれだけ減りうるかは、比率で決まる
自分がどれだけのリスクを取っているかは、値動きする資産を全体の何割持っているかでおおよそ決まります。 持っている商品の名前より、この比率のほうがはるかに効きます。
- 資産1,000万円のうち、減る額
3割の下落は、株式市場では珍しいことではありません。「何%減っても、売らずに待てるか」—— これがリスク許容度の実際の中身です。 年齢や性格ではなく、金額で考えるほうが当てになります。
リスク許容度は何で決まるか
- いつ使うお金か。いちばん効きます。 30年後に使うお金なら、途中の下落は待てます。3年後に使うお金は待てません
- 減っても生活が壊れないか。前章の「増やすお金」に収まっているか
- 減ったときに判断を誤らないか。これは事前には分かりません。分からない前提で、比率を控えめにしておくのが安全側です
下落に耐えられるかは、下落してみるまで本当には分かりません。だから最初は「これくらいなら平気」と思う比率より少なめから始めて、 一度下げ相場を経験してから増やすほうが、順序として安全です。
減った分を取り戻すには、より大きく上げる必要がある
直感に反する算数がひとつあります。50%下がったものが元に戻るには、100%上がる必要があります。
| 下落率 | 元に戻すのに必要な上昇率 |
|---|---|
| −10% | +11.1% |
| −20% | +25% |
| −30% | +42.9% |
| −50% | +100% |
| −70% | +233.3% |
下落が深くなるほど、回復に必要な上昇は急に大きくなります。大きく減らさないことが、大きく増やすことと同じくらい効くのはこのためです。 リスクを抑える話が、ただの臆病ではないのはここに理由があります。
まとめ
- 投資のリスクは損失ではなく振れ幅。上振れもリスクのうち
- 「リスクが高ければリターンも高い」は逆向きには成り立たない
- どれだけ減りうるかは、値動きする資産の比率でほぼ決まる
- リスク許容度は「いつ使うお金か」がいちばん効く
- 50%の下落を取り戻すには100%の上昇が要る。減らさないことの価値は大きい
参考文献
この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。
- 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
- 官公庁基礎から学べる金融ガイド金融庁確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所投資の時間(投資教育コンテンツ)日本証券業協会確認日 2026-09-07