第2部 資産クラス別

REIT(不動産投信)

不動産を小口で持つ仕組み。分配金の源泉と、金利との関係。

REIT(不動産投資信託)は、不動産を小口に分けて持つ仕組みです。 日本の上場REITはJ-REITと呼ばれ、株式と同じように取引所で売買できます。 現物の不動産投資(第2部15章)とは、性質がかなり違います。

お金の流れ

リターンの源泉は賃料です。誰かが賃料を払っているから分配金が出る、という関係を押さえておくと、次の話が分かりやすくなります。

分配金が高めになりやすい理由

J-REITの分配金利回りは、株式の配当利回りより高めになる傾向があります。 これは運用がうまいからではなく、税制の仕組みによるものです。

導管性の要件REITは、利益の90%超を分配するなどの要件を満たすと、 分配金を損金に算入でき、法人税が実質的にかかりません。
普通の会社なら法人税を払ったあとの利益から配当しますが、 REITはその段階を飛ばせます。だから利益がほぼそのまま分配に回るのです。
裏を返すと、内部に利益を貯めて再投資する余地がほとんどありません。 成長するには増資や借入が必要になります。

REITのリスク

  • 金利上昇——REITは借入を使って物件を買っています。 金利が上がると利払いが増え、分配金を圧迫します。 さらに、分配金利回りの魅力が債券に比べて相対的に下がるため、 価格も下がりやすくなります。金利に二重に効かれます
  • 空室・賃料下落——テナントが抜ければ賃料が入りません。 用途(オフィス・商業・住宅・物流・ホテル)によって景気への反応が違います
  • 災害——保有物件が被災すると直接影響します
  • 増資による希薄化——物件を買うために新しく口数を発行すると、 1口あたりの取り分が薄まることがあります

「REITは不動産だから株式と違う動きをする」とは限りません。REITは取引所で売買されるので、市場全体が売られる局面では 株式と一緒に下がることがよくあります。 分散のつもりで入れても、期待したほど相関が低くない場合があります (第1部4章)。

税金が株式と違う

J-REITの分配金には、株式の配当と違う点があります。

  • 税率は同じ20.315%
  • しかし配当控除は使えません。 REITは法人税を払っていないため、二重課税の調整が不要だからです
  • NISAの成長投資枠では買えます(第3部18章)

現物の不動産投資との違い

J-REIT現物不動産
最低金額数万円から数百万〜数千万円
売却取引時間中ならすぐ売れる買い手を探す。数ヶ月かかることも
分散1口で複数物件に分散される1物件に集中する
手間不要管理・修繕・入居者対応
レバレッジ個人ではかけないローンでかけられる

まとめ

  • REITは不動産を小口で持つ仕組み。リターンの源泉は賃料
  • 分配金が高めなのは税制(導管性)のため。内部留保がほぼできない裏返し
  • 金利上昇は利払い増と価格下落の両方で効く
  • 取引所で売買されるので、株式と一緒に下がることがある
  • 配当控除は使えない
  • 現物不動産と比べ、少額・流動性・分散で有利、レバレッジは使えない

参考文献

この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。

  1. 業界団体・取引所J-REITの仕組み一般社団法人 投資信託協会確認日 2026-09-07
  2. 業界団体・取引所東証マーケット情報・株式売買制度株式会社日本取引所グループ(JPX)確認日 2026-09-07
  3. 業界団体・取引所投資信託を学ぼう一般社団法人 投資信託協会確認日 2026-09-07

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