第3部 制度と税金

NISA

つみたて投資枠と成長投資枠、生涯で1,800万円の非課税保有限度額、売却したら枠は復活する話。

NISAは商品ではなく器です。同じ投資信託を買っても、 課税口座で持てば利益に20.315%かかり、NISA口座で持てばかかりません。 何を買うかとは独立した話なので、まずこの器の形を覚えます。

制度の数字は改正で変わります。この章は2026年9月時点の内容です。 実際に使う前に、金融庁のNISA特設ウェブサイト(末尾の参考文献)で 最新の数字を確かめてください。

2つの枠

つみたて投資枠成長投資枠
年間の投資枠120万円240万円
買えるもの長期・積立・分散に適すると金融庁に届出された投資信託・ETF上場株式・投資信託など(一部除外あり)
買い方積立(定期的・継続的な買付)のみ一括でも積立でも可
いまの制度は2つの枠を併用できます。以前はどちらか一方しか選べませんでした。

2つの枠は併用できます。両方を使い切れば年間360万円です。 以前の制度(つみたてNISA・一般NISA)はどちらか一方しか選べなかったので、 ここは変わった点です。

生涯で1,800万円

年間枠とは別に、非課税保有限度額生涯で1,800万円あります。 このうち成長投資枠として使えるのは1,200万円までです。

  • 1,800万円すべてをつみたて投資枠で埋めることはできる
  • 1,800万円すべてを成長投資枠で埋めることはできない(上限1,200万円)
全部をつみたて投資枠で埋めることはできますが、全部を成長投資枠で埋めることはできません。

この限度額は買ったときの値段(簿価)で数えます。 100万円で買ったものが150万円に値上がりしても、使った枠は100万円のままです。 値上がりによって枠が減ることはありません。

売れば枠は復活する(ただし翌年)

これが以前の制度から最も大きく変わった点です。

枠の復活のしかた100万円で買った投資信託が150万円になったところで全部売ったとします。 このとき復活するのは買ったときの100万円ぶんで、150万円ではありません。 そして復活するのは翌年です。売った年のうちに同じ枠を使い直すことはできません。
復活するのは値上がり後の150万円ではなく、買ったときの100万円です。そして翌年まで待ちます。

したがって「年内に売って年内に買い直す」ことはできません。 年間の投資枠(120万・240万)は、売却とは無関係にその年の上限として効いています。

非課税期間と口座

  • 非課税で持てる期間に期限はありません。 以前のつみたてNISA(20年)・一般NISA(5年)のような期限は無くなりました
  • 口座は1人1口座。複数の金融機関に同時には持てません。 金融機関の変更は年単位で可能ですが、その年にすでに買付があると翌年からになります
  • 対象年齢は18歳以上です

NISAで注意すること

非課税は良いことしかないように見えますが、裏返しの制約が2つあります。

  • 損失が税務上「無かったこと」になります。課税口座なら、損を出したときに他の利益と相殺できます(損益通算)し、 相殺しきれない分は3年間繰り越せます。 NISA口座の損失はこのどちらもできません。 利益に税がかからない代わりに、損も使えないということです
  • 枠は復活しても、年間の上限は変わりません。頻繁に売り買いすると、枠を使い切ったあと、その年は何も買えなくなります。 回転売買には向かない器です

「NISAで買えば儲かる」ではありません。NISAがしてくれるのは、利益が出たときにその税を非課税にすることだけです。 値下がりを防ぐ機能はありません。 何を買うかの判断は、この章の外にあります。

iDeCoとの違い

NISAiDeCo
掛金の所得控除なしあり(全額が小規模企業共済等掛金控除)
運用益非課税非課税
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
受け取り時の課税なしあり(退職所得控除・公的年金等控除の対象)

入口で税が軽くなるのがiDeCo、出口で税がかからないのがNISA、 という整理がいちばん近いです。 引き出せないことは欠点にも利点にもなります(第3部19章で扱います)。

まとめ

  • NISAは商品ではなく器。利益にかかる20.315%が非課税になる
  • つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円 = 年間360万円まで併用可
  • 生涯の限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)、簿価で数える
  • 売れば枠は復活するが、復活するのは簿価ぶん・翌年から
  • 非課税期間は無期限、口座は1人1口座
  • 損益通算も繰越控除もできない。損は税務上使えない

参考文献

この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。

  1. 官公庁NISAを知る(NISA特設ウェブサイト)金融庁確認日 2026-09-07
  2. 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
  3. 官公庁No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)国税庁 タックスアンサー確認日 2026-09-07

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