第2部 資産クラス別
外貨・FX
為替リスクとは何か。レバレッジがなぜ「損失が入金額を超える」ことになるのか。
外貨に関わる話は2つに分けて考える必要があります。為替リスク(外貨建ての資産を持つと必ずついてくるもの)と、FX(為替そのものを対象にした、レバレッジのかかる取引)です。 前者はほぼ全員に関係し、後者は性質がまったく違います。
為替リスクは、外国の資産を持つ全員に効く
外国株式の投資信託を持っているなら、 すでに為替リスクを取っています。意識していなくてもです。
1年後、株価が10%上がって11,000ドルになりました。 しかし為替が1ドル130円になっていたら、円では 11,000 × 130 = 143万円。ドルでは1割増えているのに、円では7万円の損です。
円高は外貨建て資産にとって逆風、円安は追い風になります。 外国の資産を持つとは、その国の資産と為替の両方に賭けているということです。
為替ヘッジ
| ヘッジあり | ヘッジなし | |
|---|---|---|
| 為替の影響 | 抑えられる | そのまま受ける |
| コスト | ヘッジコストがかかる | かからない |
| 円安のとき | 恩恵を受けられない | 恩恵を受ける |
ヘッジコストは、2国間の金利差でおおむね決まります。相手国の金利が日本より高いと、その差の分だけコストがかかります。 金利差が大きい時期にはヘッジコストも大きくなり、為替リスクを消す代わりにリターンが目に見えて削られます。 「ヘッジありのほうが安全だから良い」と単純には言えません。
FXは性質が違う
FX(外国為替証拠金取引)は、証拠金を預けてその何倍もの金額の為替取引をする仕組みです。 国内の個人向けでは最大25倍までと定められています。
- この幅だけ為替が逆に動くと、証拠金を失う
為替が1日で2〜3%動くことは珍しくありません。25倍のレバレッジでは、この程度の動きで証拠金の大半が失われます。
損失が入金額を超える
株式(現物)の損失は投資した額が上限でした(第2部7章)。FXにはこの上限がありません。
- ロスカット——損失が一定以上になると強制的に決済される仕組みがあります。 これが働けば、損失は限定されます
- ただし、働かないことがあります。相場が急変して値段が飛ぶと(窓を開ける)、 ロスカットの水準を超えた値段で決済されます。 この場合証拠金を超える損失が発生し、追加で支払う義務が生じます
実際に、主要な通貨で1日に十数%動いた事例があり、 多数の口座で証拠金を超える損失が発生しています。「ロスカットがあるから入金額以上は損しない」は誤りです。
スワップポイント
2国間の金利差から生じる調整額がスワップポイントです。 金利の高い通貨を買って低い通貨を売れば受け取れ、逆なら支払います。
「毎日スワップがもらえる」を収益の柱にするのは危険です。受け取れる額は、その通貨が抱えるリスク(インフレ・信用不安)の対価であり、通貨自体の下落でスワップの累計を一気に失うことがあります。 高金利通貨が長期的に下落してきた例は珍しくありません。
税金
- 店頭FX・取引所FXの利益——申告分離課税20.315%。 損失は先物取引に係る雑所得等の中で通算でき、3年間繰り越せます
- 株式の損益とは通算できません(区分が違うため)
- 外貨預金の為替差益——雑所得(総合課税)。FXとは扱いが違います
まとめ
- 外国の資産を持つと、必ず為替リスクがついてくる
- 資産が上がっても、円高で円換算では減ることがある
- 為替ヘッジはコストがかかる。金利差が大きいほど重い
- FXのレバレッジ25倍では、為替が4%動くと証拠金を失う
- ロスカットは万能ではない。証拠金を超える損失が出ることがある
- スワップポイントはリスクの対価。通貨の下落で一気に失うことがある
参考文献
この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。
- 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所店頭FX取引の仕組みとリスク一般社団法人 金融先物取引業協会確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所投資の時間(投資教育コンテンツ)日本証券業協会確認日 2026-09-07