第4部 実践
注文の出し方
成行・指値・逆指値の違いと使い分け。呼値の単位、板の見方、注文が約定する順番まで。
ここからは実際の手の話です。注文の種類を間違えると、 思っていたのとまったく違う値段で約定します。 しかもそれは操作ミスではなく、注文の仕様どおりの動作なので、 仕組みを知らないと同じことを繰り返します。
成行と指値
| 成行(なりゆき) | 指値(さしね) | |
|---|---|---|
| 指定するもの | 数量だけ | 数量と値段 |
| 約定しやすさ | ほぼ確実に約定する | その値段に届かなければ約定しない |
| 値段 | いくらになるか分からない | 指定した値段かそれより有利な値段 |
| 向いている場面 | 数量を確実に持ちたい・手放したいとき | 値段を守りたいとき |
成行注文は「いくらでもいいから買う」という意味です。板が薄い銘柄で成行を出すと、想定よりずっと高い値段まで買い上がることがあります。
成行が危ないのは、値幅制限いっぱいまで動きうるからです。ストップ高・ストップ安に張り付いているときや、 取引時間外に大きなニュースが出た翌朝の寄り付きでは、 前日終値からかけ離れた値段で約定することがあります。 こうした場面では指値を使うのが基本です。
約定する順番(板寄せとザラバ)
注文が処理される順番には、はっきりした優先順位があります。
- 成行優先——成行注文は指値注文より先に処理される
- 価格優先——買いは高い値段の注文が先、売りは安い値段の注文が先
- 時間優先——同じ値段なら、先に出した注文が先
だから「同じ1,000円の買い指値」でも、先に並んでいた人から順に約定します。 1円だけ高い1,001円で出せば、価格優先で列の前に出られます。 この1円が呼値の単位で、価格帯ごとに決まっています (株価3,000円以下なら1円、といった形で高くなるほど粗くなる)。呼値の単位に合わない値段では注文を出せません。
逆指値——「不利な方向に動いたら」の注文
指値が「有利な値段になったら約定させる」注文なのに対して、逆指値は「不利な値段になったら発動させる」注文です。 最初は逆に見えますが、損切りのための道具だと考えると筋が通ります。
ただし900円で売れる保証はありません。 900円に達したら発動するだけで、そこから成行で売るので、 急落中なら880円や850円になることもあります。
逆指値の発動後の注文を「成行」にするか「指値」にするかは選べます。 指値にすれば値段は守れますが、約定しないまま下がり続ける危険があります。 損切りは「確実に切ること」が目的なので、成行を選ぶことが多い。 ここは目的から選ぶところです。
IFD・OCO・IFDOCO
複数の注文を組み合わせて、あらかじめ出しておく形です。
| 名前 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| IFD | 1つ目が約定したら、2つ目の注文が自動で出る | 買えたら同時に売り注文を置いておきたい |
| OCO | 2つ出しておき、片方が約定したらもう片方が取り消される | 利益確定と損切りを両方置いておきたい |
| IFDOCO | IFDとOCOの組み合わせ | 買い・利確・損切りを1度に仕込みたい |
OCOがとくに実用的です。「1,100円になったら売る(利確)」と 「900円になったら売る(損切り)」を同時に置いておくと、 どちらかが起きた時点でもう片方が消えます。 これを手動でやると、片方が約定したあともう片方を取り消し忘れて、 持っていない株を売る注文が残る事故が起きます。
注文の有効期限
- 当日中——その日の取引が終わると失効する。既定はたいていこれ
- 期間指定・無期限——数日〜数週間、板に残し続ける
- 寄付(よりつき)・引け——寄り付きだけ、引けだけで執行する条件
期限の長い注文を出しっぱなしにすると、忘れたころに約定します。 相場も自分の考えも変わっているのに、過去の自分が出した注文が実行される。 期限は短めにして、意識的に出し直すほうが安全です。
この章のまとめ
- 成行は数量の確実さと引き換えに、値段を捨てる注文
- 指値は値段を守るが、約定しないことがある
- 優先順位は「成行 → 価格 → 時間」。同値なら先に出したほうが先
- 呼値の単位に合わない値段では注文できない
- 逆指値は損切りの道具。発動はするが、その値段で約定する保証はない
- OCOで利確と損切りを同時に置いておくと、取り消し忘れの事故が防げる
- 有効期限は短めに。古い注文は過去の判断のまま実行される
この章に出てきた「板」の読み方そのものは、カリキュラム上の次章 「板・歩み値の読み方」で扱います。まだ書いていないので、目次では準備中です。
参考文献
この章の記述は以下にもとづいています。制度は変わるので、 数字を実際に使う前に一次資料そのものを確かめてください。
- 官公庁投資の基本金融庁確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所東証マーケット情報・株式売買制度株式会社日本取引所グループ(JPX)確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所呼値の単位株式会社日本取引所グループ(JPX)確認日 2026-09-07
- 業界団体・取引所投資の時間(投資教育コンテンツ)日本証券業協会確認日 2026-09-07